Entries from 2011-01-01 to 1 year

「特別企画」 松村牧亜インタビュー (後編)

ピアノ伴奏に国境はあるか無声映画のピアノ伴奏者は世界に約1,000人ほどいるのではないかと松村は語る。ポルデノーネで会ったベテラン伴奏者からは、全体的に伴奏者の数は増加の傾向にあると聞いたという。高度な技術と経験が求められる仕事だが、映画の伴奏…

「特別企画」 松村牧亜インタビュー (前編)

2011年10月5日、ジャン・ルノワールの1926年のサイレント作品『女優ナナ』Nanaがドライデンシアターで特別上映された。今年はドライデンが一般劇場としてオープンしてから60年目にあたる。本来ジョージ・イーストマン邸のプライベートシアターであったこの劇…

Zdjęcie (Krzysztof Kieślowski, 1968) @ Unviersity of Rochester

今回は10月1日にロチェスター大学で行われた少し変った上映会についてのレビューです。『トリコロール』三部作などの美しいフィクション映画で知られるポーランドの巨匠クシシュトフ・キェシロフスキ。しかし彼のドキュメンタリー作家としてのキャリアはあま…

Toronto International Film Festival 2011, Day 7: Review

書きそびれていた断片的トロント国際映画祭(TIFF)報告の第三回。映画祭七日目。 朝、ハーバーフロントにあるホテルを発つ。移動の合間にホテルで買ったコーヒーとベーグルを食べながら一本目の会場であるAGO併設のジャックマン・ホールへ向かう。朝の交通…

Toronto International Film Festival 2011, Day 6: Review

断片的トロント国際映画祭(TIFF)報告の第二回。 今回は映画祭六日目にあたる9月13日の上映レポートをお届けします。早朝にロチェスターを出発し、再びトロントへ向かう。カナダに入り、しばらく車を走らせた後、マクドナルドに立ち寄り、買い損ねていたシ…

Toronto International Film Festival 2011, Day 2: Review

長いあいだ更新が滞っていましたが、ここで気持ちを入れ替えて再出発。 今回はトロント国際映画祭(TIFF)についての報告です。1976年に始まり、今や北米市場にとって最も重要な映画祭となったトロント国際映画祭も今年で36回目。 映画祭二日目にあたる9月9…

Joan Crawford's Home Movies (circa 1939-1942)

先日上映されたジョーン・クロフォードのホーム・ムービーについて。ジョーン・クロフォードのホーム・ムービーの発見は1997年に当時ジョージ・イーストマン・ハウス映画部門キュレーターであったパオロ・ケルキ・ウサイが受け取った一本の電話から始まる。…

Jazzmania (Robert Z. Leonard, 1923)

360|365 Film Festival(旧ハイフォールズ・フェスティバル)の一環としてサイレント映画『ジャズマニア』(1923)が上映された。サイレント期のスター女優メイ・マレーが主演するコメディ、1990年代後半にイタリアのコレクターであるロベルト・パルメ氏の所…

「特別企画」 ジョナス・メカス特集 パート4 「インタビュー (後編)」

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 引き続き4月上旬にイーストマン・ハウスを訪れたジョナス・メカスへのインタビューの様子をお届けします。ワインも3杯目にさしかかるころ、イーストマン・スクール・オブ・ミ…

「特別企画」 ジョナス・メカス特集 パート4 「インタビュー (前編)」

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ジョナス・メカスにはロチェスター滞在の機会にインタビューしたいことを前もって申し入れ、前向きな返事を得てはいたものの、彼のあまりに過密な滞在スケジュールのためにイ…

「特別企画」 ジョナス・メカス特集 パート3 「フィリップ・グラスからの手紙」

自身のマニフェストを読み上げたジョナス・メカスの受賞スピーチは、彼が優れたアジテーターであり、オーガナイザーでもあり、そして、やはり、偉大な詩人であることを改めて感じさせてくれるすばらしいものだった。プレゼンターとして授賞式に出席した映画…

「特別企画」 ジョナス・メカス特集  パート2 「ミニ・マニフェスト」

ジョナス・メカス―George Eastman Honorary Scholar for artistic achievementー受賞スピーチの一部。少しまじめな話になる、と前置きをしたうえで三項目からなる「ミニ・マニフェスト」を読み上げた。以下、内容の要約。1)8mm、16mm、35mmのフィルムで撮影…

「特別企画」 ジョナス・メカス特集  パート1 『WTC』(2010)

自称旅嫌い、アバンギャルド映画の「ゴッドファーザー」と呼ばれる89歳の巨匠。イーストマン・ハウスの栄誉賞受賞のため本拠地マンハッタンよりハドソン川沿いを電車ではるばる下ってきたジョナス・メカス。パート1の今回は彼の最新作『WTC』(2010…

What Price Hollywood? (George Cukor, 1932)

先月から始まった脚本家ローランド・ブラウン特集のトリを飾るのは、1932年にパラマウントからRKOに移ったジョージ・キューカーが移籍第一作として撮った作品『栄光のハリウッド』What Price Hollywood?。本作品のプロデューサーであるデヴィッド・O・セル…

Cluny Brown (Ernst Lubitch, 1946)

ロチェスターでもいよいよ雪がとけて、春が近くなってきました。 東北でも早く暖かくなって避難所での生活が楽になるといいのですが。今日の映画は戦争という重い時代背景のなか痛烈ながらヒューマニズムに富んだコメディ を作り続けた名匠Ernst Lubitchの作…

The Doorway to Hell (Archie Mayo, 1930)

今月からAFI(American Film Institute)やTribeca Film Festival、Boston Asian- American Film Festivalなどで活躍していたLori Donnelly氏によるプログラムが始まった。記念すべく(?)第一作目はジェームズ・キャグニーの共演が光るギャング映画だ。NY…

West Side Story (Robert Wise, 1961)

マイナス18度の極寒の夜にRobert Wise監督Leonard Steinberg作曲による大傑作『West Side Story』(1961)を観た。この映画は1957年にブロードウェイで大ヒットしたミュージカルを映画化したもの。劇場の臨場感を再現するかのように、Overtureがゆうに5分く…

Upstream (John Ford, 1927)

ジョン・フォード1927年の監督作品。長らく失われた映画と思われていたが、2009年にニュージーランド・フィルム・アーカイブに保管されていた75本のナイトレートプリントの中の一本としてアメリカ映画芸術科学アカデミーのブライアン・ミーチャムらによって…